ぼーっと見ていた画面の中の登場人物が呟いた。
「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ」
そうこれ、井伏鱒二の作品だよな~と思っていたところ、
実は井伏鱒二が「勧酒」という漢詩を訳した言葉だとのこと。
もとは、
勧君金屈巵 満酌不須辞
花発多風雨 人生足別離
君に勧む 金屈卮 満酌 辞するを須いず
花発けば 風雨多し 人生 別離足る
意味としては、
「この杯で酒を飲んでくれ。並々と注いであげる。
花が開けば風雨で散ってしまうように、
人生は別れがつきものなんだから。」
それを井伏鱒二は、
「この杯を受けてくれ どうか並々、注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ」
と訳したのだという。
人間誰しも、行き切った最後に待っているのは「死」
どんな出会いがあっても、最後には別れが待っている。
一期一会を大切にしたという井伏鱒二だからこその説得力がある。