12月15日(土)、12月16日(日)、国立歴史民俗博物館主催、早稲田大学人間科学学術院共催で、歴博フォーラムが開催されました。テーマは
「死者と生者の共同性」~葬送墓制の再構築をめざして~
プログラムは以下のとおり。
「位牌・墓標と葬送」谷川章雄(早稲田大学・教授)
「両墓制の終焉と死生観」朽木量(千葉商科大学・教授)
「死者と社会構想あるいは妄想」土居浩(ものつくり大学・准教授)
「デジタル時代の弔い方」瓜生大輔(東京大学・助教)
「無縁社会の3つの方向と共同性のゆくえ」槇村久子(関西大学・客員教授)
「近親者なき人の葬送と助葬」山田慎也(国立歴史民俗博物館・准教授)
「送骨と寺院」村上興匡(大正大学・教授)
「<二・五人称の死者>の今後」鈴木岩弓(東北大学・総長匿名教授)
「新たな死の共同性」小谷みどり(第一生命研究所・主席研究員)
「無縁墳墓改葬制度と墓地埋葬秩序の再構築」森謙二(茨城キリスト教大学・名誉教授)
近年の一連の葬送儀礼・死者儀礼について、供養について、民俗学、宗教学、考古学、社会学、法制史、生活設計論など、専門の研究者が学術的な視点からの研究発表が行われました。
それぞれ視点は異なるものの、大枠の見解は共通しています。
・「イエ」から「個」へ。家族の形が変化している。
・キーワードとして多くあがったのは直葬、家族葬、樹木葬、散骨、納骨堂、永代供養墓
・「墓制」が多く取り上げられていたのも研究者ならでは
・「送骨」「デジタル」は新しい視点か
供養コンシェルジュ協会では、「『生』と『死』の業界の狭間、制度の隙間を埋めるためにはどうしたら良いか」という観点での活動を意識しているため、特に山田慎也先生の福祉的視点での「助葬事業」についての話は大変興味深いものでした。
※助葬とは、厚生労働大臣認可の第一種社会福祉法人が行う事業で、生活保護受給者、被保護者、行旅死亡人または身寄りがない方など様々な事情のある生計(生活)困窮者に対して、行われる葬祭事業のことをいいます。
鈴木岩弓先生が提唱した「2.5人称」も興味深いワードでした。
2.5人称の死者とは、
「会ったことはない(対面経験はない)けれども意味のある死者のこと」
つまり、「先祖」「犠牲者」等でそこに何かしらの”想い”がともなう死者のことだそう。
会ったことのない死者に対して、現代人はどこか冷ややかな側面があります。微妙な立ち位置で対処される「2.5人称の死者」の弔い方いついて、永代供養墓がキーワードとなって登場していました。