「今一番の悩みはお墓の事」と友人は渋い顔をしながら話し出した。
彼女には両親が眠る実家のお墓がある。
そこには両親はもちろん、早くして亡くなった妹さんや先祖代々の遺骨が納められている。
そしてもう一つ。ご主人のご両親やお姉さんが眠っている嫁ぎ先のお墓。
このお墓は、ご主人の父親が亡くなった時に、
彼女たち夫婦が建てたという。
「自分たちが守れる間はいいけれど、子どもたちの時代、その先の孫たちの時代になったら
どうなるんだろう…。そんな先の事まで心配する必要はないのかもしれないけどね」
と言いながらも悩みは尽きない。
「知ってる? 関東圏は火葬場から全骨持ち帰るけど、関西圏は主要部分だけなのよ…」
「大阪にね、一心寺さんっているお寺さんがあってね…」と
ご遺骨やお墓に対する様々な地域での考え方の違いを話すと
びっくりした顔をしながらも、
「実は、私も家に仏壇がない時は、お墓参りにすごくこだわっていたんだけど、
家に仏壇が来て、毎日手を合わせられるようになってからは
お墓参りにこだわらなくなってたんだよね…」と。
その後も改葬の事、墓じまいの事、納骨堂、合祀、と
お墓の話が続いた。
ふっと私が、
「で、○○さんは、どちらのお墓に入るの?」と聞くと、
「もちろん、夫と同じお墓よ」と力強い答え。
仲の良い二人の事だから当然思って聞いたが、
少し間をあけて、真顔になって
「ホントは、両親が眠るお墓に入りたいんだけどね…」と。
お墓の悩みは尽きない…。